「血圧は家で測るのが重要」なのはなぜ?

2019.06.10

和歌山県立医科大学名誉教授・角谷リハビリテーション病院院長
有田幹雄 先生

動脈硬化を進行させる高血圧
高血圧は動脈硬化の危険因子

私たち人間の体の各所には、血管を通じて大切な栄養や酸素が運ばれ、老廃物が回収されることで、正常な生命活動が維持されています。血管の状態は歳を重ねるにつれて変化し、コレステロールなどが溜まって血管の壁が厚くなった状態を、動脈硬化と呼びます。

血圧とは、心臓から出た血液が血管の壁を押す力のこと。この力が強い状態が高血圧で、血管の壁を刺激することで、動脈硬化が進みます。動脈硬化の危険因子としては、高血圧の他に、糖尿病、脂質異常症、歯周病なども挙げられます。

高血圧や動脈硬化は自覚症状がないまま進むのが特徴です。そして、脳の血管の動脈硬化が進行すれば脳卒中、心臓で進行すれば心筋梗塞が起こることも…。命を脅かす症状として突如現れるため、サイレントキラーと呼ばれます。

高血圧は死亡に至る大きなリスク因子

日本人が死亡に至るリスク因子の寄与の1位である喫煙に次いで、高血圧は2位(図1)。また、メタボリックシンドロームの9割に高血圧が関係していることもわかっています(図2)。

つまり、自分の血圧を把握してコントロールすることが、将来にわたって健康に過ごすためには重要です。

図1/Ikeda N, et al. What has made the population of Japan healthy? Lancet 378: 1094-1105, 2011より作図

図2/有田幹雄先生調査データより作図

まずは知りたい!正しい血圧の測り方

高血圧と診断された人はもちろん、高血圧のおそれがある人は、日頃から血圧をチェックする習慣をつくりましょう。

測るタイミングは朝食前と就寝前。排尿を済ませ、正座ではなく椅子に腰かけて測りましょう。薬を服用している場合は、服用前に。血圧は気温に大きく左右されるので、室温18℃以上の部屋で計測することも重要です。

<血圧の正しい測り方>

◎椅子に背すじを伸ばして座る
◎カフを心臓と同じ高さにする
◎腕に力をいれない

「白衣高血圧」や「仮面高血圧」に注意!

「血圧は病院で測っているから家で測る必要はない」と思うかもしれません。しかし、正確な血圧値を知るという意味では、「診察室血圧と家庭血圧の間に診断の差がある場合、家庭血圧による診断を優先する」(*1)ことが推奨されています。

心拍数は1日に約9~10万回。そのたびに血圧は変動するので、一定ではありません。ストレス(自律神経)、時間帯、寒暖差などによっても左右されます。自律神経がかかわる例としては、診察室で医師や看護師の白衣を見ると無意識のうちに緊張してしまい、血圧が高くなる現象があり、「白衣高血圧」と呼ばれています。

逆に、病院での計測では正常値なのに、家庭では血圧が高い現象は、高血圧を隠すという意味で「仮面高血圧」と呼ばれています。近年の研究にでは、この「仮面高血圧」の人の死亡リスクが高いことが明らかになってきました。24時間変動する血圧の数値を正しく知るためには、「病院で月に1回計測する」だけではなく、家庭でも計測する習慣が大切なのです。

  • * 1 出典:日本高血圧学会「高血圧治療ガイドライン2014」
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